Ehrlund Microphones
EHR-D
Product Overview of EHR-D
今回もまずスペックと参りましょうか。
- Type
- Ccondenser microphone
- Membrane type
- Triangular membrane, combines the characteristics of both large and small membranes
- 指向性
- Cardioid
- 周波数特性
- 7 – 87000 Hz
- Sensitivity at 1kHz
- -42 dBV/Pa (8 mV/Pa)
- Impedance
- Handles all impedances
- Equivalent noise level
- < 9 dBA
- Signal-to-noise
- 85 dBA
- ダイナミックレンジ
- 128 dB
- Max SPL (peak) Clip
- 155 dB
- 0.5% THD
- 132 dB
- 1% THD
- 137 dB
- Power supply
- 48 V Phantom power
- Current consumption
- 2.0 mA
- 接続
- XLR 3-pin
- Materials
- Aircraft-grade aluminium body, hardened nickel-plated stainless steel net
- Finish
- Glass bead blasting
- 寸法
- Ø53 mm x 72 mm
- 重量
- 170 grams
EHR-Mと比べてMax SPLが高く設定されています。EHR-Dの"D"はDsのDとのことで、高音圧対応(=低感度)マイクということですね。グリルもEHR-M1と同様堅牢な構造になっており、コンサートの現場への対応が伺えます。
実際にEHR-E,DでDsやGtのアンプからの音を収録している動画もあります。
周波数特性曲線を眺めていて気がついたのですが、EHR-M,EHR-T,EHR-M1とカーブが異なり、よりフラットな印象を受けます。また、軸に対して90°の収録音量も6dB前後抑えられているようです。単一指向性等よりは狭/鋭指向性に近いようです。Ds周りのマイクはカブリが多いので指向性が狭いのはマイナスにはならないでしょう。
Sound Impression of EHR-D
さて実際の音に参りましょう。
各社のドラムマイクを試してみよう!!という企画が立ち上がり、我らがHome、ANNEX Recordingで弊社Music Schoolの講師、目次先生に演奏をお願いして収録してみました。
借りることができたEHR-Dが1本だったので、KickとSNにそれぞれ別に使用しました。別のタイミングでEHR-DとEHR-EをFloor Tomにも使用してみました。
収録した前者のdata関してはを御覧ください。
動画にもありますが、楽器とマイクの対応は以下の通りです。
- Kick
- EHR-D
- Snare
- EHR-H
- H/H
- EHR-M1
- Floor tom
- EHR-E
- Toms
- EHR-M
Tomに使用したEHR-Mが少し歪んでしまいました...。EHR-Mの最大音圧は122 dB SPL (1% THD)ですのでTomはそのくらい音圧が出る、と言うことですね。
Kickに使用したEHR-Dは137 dB SPL(1% THD)で、問題なく収録できていますから、Ds周りに使用するにはこのくらいの音圧に耐える必要があるということです。
kickのEHR-Dは少し不思議な印象を受けました。他のKick向けマイクと比べた印象ですが、周波数特性曲線は比較的Flat
と言ってよいと思います。AE2500の周波数特性曲線もFlat
と言ってよいと思います。
しかし得られる音の印象はだいぶ異なります。EHR-Dの最初の印象はAKG D12 VRやD112あたりに(Dynamic micの音質に)近いと思いましたが、後日ちょっといじってみると、やはりコンデンサーマイクだなという側面が感じられました。
一方、AKGやAUDIX、sE electronicsなどのDyn マイクはKickのPreset EQ的なカーブが設定されている印象で、特にAUDIXのD6, sE electronics V-KICKなどはかなり音作りがなされている印象です。
Dynamic Micのガッツ感というのはさすがにちょっと薄い印象ですが、Kickの中に突っ込んで使えるお手軽感が好印象です。
SNに使用した時の印象ですが、コンデンサーマイクの深み的な音がありつつもダイナミックマイクの明るさがある印象です。
後者はSoundcloudにUploadしました。シングルヒット x2 + クレッシェンドする6ヒットです。
皆さんの印象はどういったものになりますでしょうか。AudioはNormalizeしてあります。波形がご覧いただけないので皆さんの耳を信じての発言ですが、EHR-Dはほぼ同じダイナミクスで収録されているのに対してEHR-Eはダイナミクスがきちんと出ているのがわかっていただけるかもしれません。
どういうからくりでこんなことが可能なのかわかりませんが、これはこれで使い分けができるという意味で興味深いです。
すべてEhrlund Microphonesの製品でDsを収録するとすると、Kick、SnareはEHR-Dを、TomはEHR-Eを使用すると思います。O/H, H/HはEHR-M(1)でしょうか。
2024/11/19追記
レビューしてからはや数年、PAの現場で使用してみました。
残念なことに最初の動機は音質ではなく、そのサイズです。某Live Houseで半年に一度くらい行われるLiveがあり、Ds Kitが持ち込みなのですが、そのKickのHoleが7.5cmほどのサイズで、会場備品のAKG D112 mkIIが入らず困っていました。マイク自体の直径は7cmなので入るのですがホルダー部がHole Edgeに当たってしまうのです。
直径が5.3cmであれば入るだろうとトライです。
候補は他にもaudio-technica ATM25、DPA 4055、beyerdynamic M 88 TGといろいろありましたが、生来の天邪鬼が幸いし(?)新たな組み合わせを試してみた次第です。
Liveにおける使用ということでより実践に即したreviewができそうです。
いつもは会場備品のAKG D112 mkIIとAston Microphones SplitをそれぞれKick-in-Mic
とKick-out-Mic
に使用しています。
たまにHoleのないKickの持ち込みもあります。流石にそのときは潔く(?)諦めるのですが、穴が空いているのに入らない...とちょっと悔しい思いでした。
前回のLiveの時も、ちょっと考えてBatter head側から狙ったのですが、Dsの方に「やはりそうきましたか!?」と言われ、「こうやる方、多いですか?」と伺うと「いや、前回もそうやってたから^^。」と。
進歩していない自分に反省しつつ、「次回こそは!!」と思いました。
ちなみに、Better head側から狙う手法は嫌いではないのですが、どうしてもSnare drumのwireの音の影響が小さくありません。RecであればMixingの際にAutomationで処理できますが、Liveだとなかなかそうも参りません。
それから数ヶ月、ついにその機会を得ました。(勝手に)リベンジです。
いつもの通りDsさんが早めに到着しsettingです。
マイクを御覧いただきましたが、「へぇ、知らないなぁ...」と興味津々なご様子です。また、以前導入されているLautenのTom Micのマイクもご覧になり「あれ、こんなのあったっけ?」とこちらも気になるご様子でした。
Dsのsettingが一通り完了し、緊張の一瞬です。会場にはTriad-Orbitのスタンドがあるのですが、そちらの先端にEHR-Dを装着し、ゆっくりHoleに通してみました。最終的にはM3を装着し自由度を高めたうえで配置です。いわゆるいつもの場所、にセットするためです。
Sound Check/リハに移り色々確認です。当たり前ですが、Snare wireの影響は打面側から狙う場合ほど大きくありません。その時点でアドバンテージがあります。更にD112と比べてですがSpeed感があるように感じます。このスピード感はコンデンサーマイクの利点と言えるでしょう。
EQやDynのレスポンスもよく素直なマイクであることを再認識できました。
別のタイミングでDrummerを呼んでtest sessionを行ってみました。
4箇所ほど、軸上で場所を変え収録です。共通する音質は持ちつつも近づけるとAttackが出てきます(あたりまえですが)。Gainも変更になりますが、どのポジションも非常に好印象な音質です。
改めて、高解像度なキャプチャー能力を有するマイク
という認識を持ちました。
Floor Tomにも使用してみましたが、Dynamicのアタックの明るさ、とコンデンサーマイクの中域の質感を併せ持つマイクといった印象です。
Afterwords
中々興味深いマイク、という印象です。EHR-MやEHR-TはOff miking向けに作られている印象ですが、EHR-DとはDrums向け、とのことなのでEHR-Eと並んでON-miking向けなのでしょう。
Percussionなどにも相性良さそうです。
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checker:Takumi Otani
Ehrlund Microphones,EHR-D
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