EVENTIDE
UltraChannel
今回見ていくのはEventideのチャンネルストリッププラグイン UltraChannelです。
所謂オーソドックスなチャンネルストリッププラグインとは異なり,Eventideのお家芸,DelayやPitchもこの中でいじれます。
さっそく見ていきましょう。
Product Overview of UltraChannel
プラグインフォーマットとしてはAXX NAtive,AU,VTSに対応しますのでほとんどのDAWに対応しているといってよいでしょう。OSはMicrosoft Windows 7+ / Apple OS X 10.7+とのことです。
さっそくインストールしてみて開いてみました。DAWはProToolsです。
Mono,Stereo,Mono/Stereoに対応しています。
セクションとして
- INPUT
- GATE
- COMRESSOR
- O-PRESSOR
- 5-BAND PARAMETRIC EQ
- MICRO PITCH SHIFT
- STEREO DELAYS
- OUTPUT
となっており各セクションに[IN/OUT]が搭載されています。信号は基本的に左から右に処理されていきます。GATE,COMPRESSOR,O-PRESSOR,5-BAND PARAMETRIC EQの4つのセクションはドラッグで自由に入れ換えることが可能です。
3つのダイナミクスセクションはSide-chainにも対応しており,COMPRESSORはDE-ESSERモードにすることも可能です。
チャンネルストリップの機能としては充分と言えるでしょう。
ここに搭載されているO-PRESSORはOminipressorのシングルニー コンプレッサーのみの機能を持っています。機能限定とはいえCompressorとしてみた時のパラメーターは充分な印象です。
また5-BAND PARAMETRIC EQはFilter TypeをHigh/Lowは5種類(6 dB/Oct Cut, 12 dB/Oct Cut, Shelving, Classic Peak, Modern Peak),Midnの3バンドはClassic Peak, Modern Peakを切り替え可能なFull-parametric EQです。
周波数帯はそれぞれ
- Low Filter
- 20 Hz - 800 Hz
- Low Mid Filter
- 100 Hz - 2 kHz
- Mid Filter
- 500 Hz - 800 kHz
- High Mid Filter
- 1 KHz - 20 kHz
- High Filter
- 5 kHz - 20 kHz
で,Qの値は0.5-20.0で可変です。Gainは-24dB ... +24dBの幅を持っています。各バンドは独立してON/OFFが可能です。
OutputにはXFORMERというトランスのコア サチュレーションのエミュレート機能が組み込まれています。低域の楽器に有効です。
Sound Impression of UltraChannel
さて,実際の使用感と参りましょう。
僕はいつもSSLのプラグイン,Duende Channelstripをインサートするとことから始めますが,今回はUltraChannelです。
センターラインの楽器にインサートして使いやすそうなDefaultを作成しました。Signal Processingの順番にGATE->EQ->O-Pressor->Compressor,という順番です。
僕はあまり積極的にGATEをつかわないのでちょっとここはおいておいて,EQです。
しっかりかかるEQ,という印象です。Modern peakingとClassic PeakingではQの幅が少し異なるようです。Constant QとProportional Qなのかもしれませんがここは想像の域を出ません。ご了承下さい。
結構ガッツリ掛けたほうが楽しいEQです。WavesのRenaissance EQやSSLのEQというよりはapiのEQのようなイメージと言うんでしょうか(音質ではありません)。
プリセットもみて見ましたがかなりエグくEQされているものもあります。
次にCompressorです。しなやかにかかるCompという感じで好印象です。積極的に音作りに使う,というよりはレベル補正の観点に近い印象です。パラメーターも充実しており,癖のない,しっかりかかるコンプとして使っていける印象です。
最後にO-Pressorです。
既述の通りO-PRESSORはコンプレッサーです。最初見た時には「なぜコンプが2つも?」と思いましたが使ってみてすぐにその理由がわかりました。こちらは積極的に音作りに使っていけそうなコンプです。
現在僕のDefaultのProccessing Orderは「GATE->EQ->O-Pressor->Compressor」ですが,GATE->O-Pressor->EQ->Compressorも面白いと思います。叩いて,EQして最後にまとめる,というイメージです。
あとO-PRESSORの気に入ったのはBASS CUTというDetectorに送る信号にLow Cutを入れることが可能なことです。Kick,Bassには非常に有効でした。O-PRESSORをEQの後に配置して低域をブーストした信号を処理したい時にはぜひ試してみてください。
試しにO-PRESSORとCOMPRESSORを同じパラメーターにしてみましたが音の印象は違います。KNEEの値がO-PRESSORでは固定ないのでそのへんでも違いは出ると思いますが,かかり方からして違うので別のアプローチが取られているのだと思います。
さて,ここからがEventideのプラグインで有る所以でしょう。
まずはMicro Pitch Shift。そうです。H8000に搭載されていたあれです。
とりあえず,KickやSnに入れることはないと思います。ですのでここはVocalに入れてみました。
monoで使用すると,厚みが加わる感じです。コーラスや,Clean Gtにも良いと思います。Mono/Streoで使用した時にはWIDTH,MIXを100%にすると,ダブルとも異なる面白い効果を得ることができました。
更にここにStereo Delaysを加える事が可能です。ちょっとしたDelayの処理なら十分ですし,AUXバスを新たに作って...という手間もかかりません。ちょっとした処理,と書きましたが,Delayのパラメーターとしても充分な機能を持っています。また,FeedBackの行き先をほかのModule(GATEなど)に送ることも可能です。この辺は1台完結型の強みですね。かなりエフェクティブな処理が可能ですね。
これら2つのエフェクトはOUTPUT sectionの直前の信号に作用します。
Presetもカテゴリー別に豊富に用意されていますので切り替えていくだけでも結構楽しいです。
Afterwords
Eventideらしい遊び心にあふれたチャンネルストリップです。Engineerの方はもちろん,クリエイターの方にとっても一つ武器になるプラグインだと思います。
date:
checker:Takumi Otani
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