DPA Microphones
4099-DC

今回は新しくd:vote DCとなった4099-DC-1を見ていきましょう。僕はVO4099のキットを持っていることもあり、色々な場所で試してレビューを書いてきましたがその4099が4099-DCに進化したのが昨年のこと、代理店に確認取ってみると運良くデモ機に空きがあるとのことで早速借りてみました。

Product Overview of 4099-DC-1

今回更新はミニチュアカプセルのアンプ部を改良したとのことでそれによりTHDを抑え、広いダイナミックレンジを確保できるとのことです。

確かにd:vote ™は生楽器に装着が可能でそれらの楽器は広いダイナミックレンジを持っているものが多くあります。それらをノイズフロアに埋もれさせないという意味でもS/N、ダイナミックレンジは広いに越したことはありません。

4099-DCは4099と同じく高感度モデル、4099-DC-1と低感度モデル 4099-DC−2と2種類のモデルがラインナップされていますが最大で+14dBのダイナミックレンジの向上、THD1%のSPL Peak値も最大137dBと十分な値を示しています。

Specです。旧4099HiのSpecも、比較の意味で記載します

Spec of 4099-DC-1

指向特性
超単一指向性
カートリッジ
プリポラライズド・コンデンサー型
周波数レンジ(±2dB、20cm)
80Hz ... 15kHz(2dBソフトブースト@10 ... 12kHz)
感度(±3dB)
-44dB re 1V/Pa
等価雑音レベル(Aウェイト)
23dB SPL
28dB SPL
全高調波ひずみ(THD)
1%以下(131dB SPL、ピーク)
ダイナミックレンジ(代表値)
108dB
最大音圧レベル
142dB
出力インピーダンス
MicroDot:30 ... 40Ω、DAD6001またはDAD4099:100Ω
ケーブル引き伸ばし可能距離
最大300m(DAD6001またはDAD4099使用時)
電源
ファンタムDC48V±4V(DAD4099、DAD6001使用時)
DC5 ... 50V(ワイヤレス用アダプター使用時)
コネクター
MicroDot
マイクロホン部寸法
φ5.4×全長45mm
質量
約27g ※ケーブル・コネクター除く
ケーブル長
1.8m
グースネック長
140mm

Spec of 4099 HI

指向特性
スーパーカーディオイド
カートリッジ
プリポラライズド・コンデンサー型
周波数レンジ(±2dB)
80Hz ... 15kHz
感度(±3dB)
-44.5 dB re 1V/Pa
等価雑音レベル(Aウェイト)
23 dB SPL
全高調波ひずみ(THD)
1%以下(123 dB SPL、ピーク)、1%以下(120 dB SPL、RMS)
ダイナミックレンジ(代表値)
100 dB
最大音圧レベル
142 dB SPL
出力インピーダンス
30 ... 40Ω(MicroDot)、100Ω(DAD4099またはDAD6001BC)
ケーブル引き伸ばし可能距離
最大300m
電源
ワイヤレスシステム:5V ... 50V(DPAアダプター)
ファンタムDC48V±4V(DAD4099またはDAD6001BC)
コネクター
MicroDot
寸法、質量
全長45mm、36g
グースネック長
140mm
ケーブル長
1.8m

いかがでしょう。ダイナミックレンジが8dB、THDが1%になる音圧も8dB改善されています。アコースティック楽器はダイナミックレンジが広いのでマイクのダイナミックレンジが広いのは歓迎ですね。

また、コネクター部の色で判別ができるので外観からの判断はしやすくなりましたがネーミングがちょっと分かりづらくなりましたかね。今まではVO4099 Hi(sensitivity)、VO4099 Lo(sensitivity=高音圧用)だったのですが、今回は4099-DC-1(=High Sensitivity)、4099-DC-2(=Low sensitivity)です。

Sound Impression of 4099-DC-1

さて実際の音に参りましょう。

今回はPfで試し、Vnに使用しました。

毎年ご依頼頂いているNew Year Concertがあるのですが、その内容は児童合唱、Pf+Vn+Sax+soprano SingerのStageと言ったものです。

pfの調律の際に、調律士に許可を取って可能な限り近く(4099-DC-1の方1cm弱が高域鍵盤側)にVO4099 Hiと4099-DC-1をそれぞれ設置させてもらい、Consoleで試聴です。

まずHAのノブを位置を同じにしてみましたが感度はほぼ同じなのでmeterの振れ方に差はほとんんどありません。

で、肝心の音質ですが、4099-DC-1の方がややSmoothな印象を受けます。ミッドレンジがすこーしだけ豊かというか。
カプセル部は同じなので極端には違いませんが、よくよく聴かないとわからない、というレベルではなく、一聴して「お、地味に違うな」という印象です。
同じモデルのマイクに対してHAを変えた、という音質変化に近いでしょうか。
もしくは、試したことがないので想像ですが、DPAの d:dicate™シリーズの2011Cと4011Cの音質の差、2006Aと4006Aの音質の差というものに近いのかもしれません。

話しを4099に戻しましょう。調律中のシンプルな打鍵でも十分にそのポテンシャルは聞き取れますのでVO4099 Hiを4099-DC-1に交換するのは間違いなくプラスに働くでしょう。

さて、Vnに使用した時の話です。VO4099に比べてクリアな印象を受けます。VO4099、4099-DC-1のTHDのカーブがどのような曲線を描いているのかわかりませんので想像ですが、両マイクの等価雑音レベルが同じなのでこのClarityはアンプ部の改良に起因するものなのでしょう。フレッシュでSmoothな音が収録できました。

別のタイミングでジャズのLive sessionで試してみました。最初はAKG C414で収録しようかと思っていたのですが、Pianistの方がおもむろに「4099DCあるので...」と取り出してくださったので、「あ、ぜひ使わせてください!」とお願いし、ご自身でいろいろ研究なさったというマイキングをセッティングしてもらいました(結構オンマイク)。

ハードプレイな部分もありますが、歪感などは皆無で最終的にマイクポジションの変更と追加を提案しめでたしめでたしです。

ダイナミックな演奏もあればバッキング的な演奏もありますが、いずれもくっきりした音像で、リハの途中にSaxophonistさんが「CDみたいな感じ」と全体の音の質感をメンバーさんに伝えていたのが印象的でした。

Afterwords

なかなか試せませんでしたがここまでの違いがあるとは脱帽です。
幸いにしてアタッチメントは共通ですので所有しているモデルを揃えなおす必要がありませんがVO4099 Hi、Loをそれぞれ4099-DC-1、2にアップグレードするのは行ったほうが良いようです。

タイミングを見てアップグレードしていきたいですね。

DPA Microphones,4099-DC-1 画像

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