Apogee Electronics
AD-8000

Product overview of AD-8000

さて、お久しぶりです。機材checker Takumi Otaniです。今回のReviewはしばらく前にS&R誌でも特集のあったAD/DA Converterに関して書こうと思います。S&R誌の特集にはありませんでしたがApogee AD-8000についてです。もう生産完了ですが、いまだに愛用者が多い機種ですね。
基本機能はADコンバージョンなのですが、AM-busと言うカードスロットが4枚増設でき、そうなるとADに加えDDフォーマットコンバージョン、更にはDAオプションを増設すると、8chDAコンバータや2chDAコンバータにもなるという優れものです。
当店では現在、8ch ADC(AES/EBU,ADI,TDIF),2ch DACとして使用しています。
AD/DA Converterと言うものがいまいちピンと来ない人は、インターフェイスだと思ってもらっても良いかも知れません。
「高いコンバーターと安いコンバーターは何が異なるのか」、たまにお客さんに尋ねられます。安価な製品だからといって、一聴して明らかな音の差はあまりありません。
あと、「デジタルなんだから、同じでは?」と言う誤解(?)もたまに耳にします。
確かにAD/DAは「半分」はデジタルです。
「半分は」というのは、アナログをデジタルに変換する以上、単純に考えて半分はアナログ回路なんです。アナログの音の変化はGt/Baのケーブルやアンプの電源ケーブルを交換しても簡単に音が変わるくらいですからある意味不安定なものと言えるでしょう。
僕もAD変換の詳しいことは知りませんが、アナログをおろそかにしていては良い音は出来ないと思います。

Sound Impression of AD-8000

僕がApogee AD-8000を愛用している理由ですが、オーバーダビングを重ねていってもひとつひとつの音がにじまないのです。「音がにじむ」と言うのが体験したことがないとなかなかわかってもらえないのですが、いまいちMixしづらいとか、音のエッジが失われている気がする、でも単体で聞くと、そうでもない...みたいな状況です。音の分離が悪い感じともいえるかも知れません。意図せずに音のアタックがグシャとしていくのです。
同時にたくさんのソースをならしても、Soloで聴いてもあまり印象が変わらない、当たり前のようですが、なかなかすごいことです。
逆に言うと、それだけしっかり実音を捕らえれくれるので、適当に録音してあとで何とか...と、ふざけたことを実行すると、かなりの確率で痛い目にあいます(苦笑)。

ちなみにAD-8000のインターナルクロックで使用するとやや重たい感じの音がします。よく言うと太い音、悪く言うとややもっさりした音がします。発売当時のことを考えると当然かもしれません。ProToolsで録音すると音が冷たい、という理由で真空管機材が多くリリースされた時期でもありました。

いろいろ試した結果、外部からクロックを供給していますが、すっきりした音がして前述のとおり弊社録音スタジオでも重要な機材となっています。

出張録音などにも必ず持っていく、相棒といえるかもしれません。
ハイレートのConverterの導入も検討しているのですが、AD-8000を超える(スペック的な部分だけではなく、実際の「音」の問題として)製品でないと導入の意味がありません。Rosetta800かAD-16X,Prism Soundあたりしかないかな、と考えている今日この頃です。
96kHzが当たり前の昨今48kHzで録音しているのは時代錯誤なのかもしれませんが、よく「スペックだけで音は語れない。」といいます。AD-8000のよさを表しているよい言葉でしょう。
EQやDynamicsの掛け方から変わってきます。となると、仕上がりが変わって当然ですね。

2013年追記

AD8000 SEが中古にて入荷しました。

電源回路のリファインが施された製品とのことですが,AD8000よりも余裕がある感じの印象です。

Afterwords

Music Plant Annex Recordingには高価なHAが多数ありますが、その状態の音を、後々まで使える、しっかりした音で取り込んでくれるAD/DA Converterは、Digital全盛の今、目立ちはしませんが、非常に重要な機材であると言えるのではないかと感じています。そんな僕にとってAD-8000は使い勝手が良く、更に音もしっかりしている重要なAD/DA Converterです。

Apogee Electronics,AD-8000

date:
checker:Takumi Otani

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