Antelope Audio
LiveClock
さて,今回見ていくのはAntelope AudioのLive Clockです。PA/SRの現場向けのデジタルコンソールがリリースされて久しいですが,Live ClockはまさにそのためのClockとしてリリースされた印象があります。
早速見ていきましょう。
Product Overview of LiveClock
届いたデモ機を開けてみると,Antelopeの他の製品に比べて小さくでかわいい感じです。確かにLiveの暗い中で使う製品にアルミの目立つFrontパネルは必要ありません。ラックマウント金具も入っています。
フロントパネルにボタンがないので「え,Clockの切り替えどうやんの?」と思いましたが電源を入れてみて安心です。周波数を表す数字の右側に"∧","∨"というマークが出てきて操作可能です。
電源はACアダプターからの供給ですがOrion Studioと同じく,Lock可能なコネクターが使用されており,ACアダプター自体はUniversal対応です。本体にPowerスイッチはなく,「当たってPower Offになる」というトラブルを回避できます。
周波数は32,44.1,48,88.2,96,176.4,192kHzから選択可能です。また南京錠のマークもあり,Lockすることが可能です。
Clock sourceはOven(Internal),Atomic Clock,Externalの3種類から選択可能です。
これらの操作はすべてLauncerからも行えますし,更にはLauncherでは10M Clockを接続した際にそれを用いてLiveClockをCalibrationすることが可能です(その場合にはClockは出力されないので事前に行うことをおすすめします)。
また,ディスプレイの照度を変更するのはLauncherからのみの様です。
さて,背面ですが,Launcher制御のためのUSBの他に,External WC in,10M(Atomic Clock) in,WC Out x4,AES/EBU out x2,S/P DIF out(Coaxical)x2が用意されています。端子形状の折り合いが付けば同時に8台の機種へClockの送出が可能です。
Sound Impression of LiveClock
さて,実際の音に参りましょう。
試すことは単純です。WC inを持つDigital機器に対してInternal ClockとLiveClockのExternal Clockを切り替えて音の違いを愉しむ聞き取る,ということになります。
Live Clockという名称なので(?)Liveの会場で使用してみました。会場の詳細などは省きますが、今回で3-4回目になるイベントで、小規模ホールといって差し支えない会場です。機材もほとんど毎回と同じです。ほとんど、と記載したのは厳密に同じではなく、それは出演者の都合でマイクなどが追加になったりしたためです。
今回は32Inputです。全てのFaderが上がることはないにせよそこそこの数があります。
解像度などをチェックするにはもってこいです。
Consoleが44.1kHzか48kHzにしか対応しないので今回は48kHzでチェックです。
Clockを切り替えたときに瞬時に変われば良いのですが、どうしても一瞬音が止まります。こればっかりは仕方ありません。INT(ernal)とExt(=LiveClock)を数回切り替えてみました。
今回も中低域の音が整理されて高域が少し伸びる気がします。マイクでも同じ印象です。
全体の音質が大きく変わる印象はありません。もしそうだとしたらInternal Clockに問題があります。
ただ、マイク1本でも感じ取ることができる微妙な差が24-32ch分重なるとどうなるのか楽しみです。
リハーサル中、本番中にWCを切り替えるわけにはいかないので完全に印象でのレビューになりますが、Mixが楽な印象です。
手を抜いても大丈夫、なのではなく、「そこまで集中しなくても音がきちんと聞こえる」感じですのでVocalをはじめとした主要楽器に重点的に気をくばっておけばよい、という感じです。
また、Live Clockだけの影響とは言えないのですが、全く無関係でもない気がするので、思い切って記載しますが、現場が終わった後の耳の疲れ方が違います。「そんなのは出力音量が違えば変わるじゃないか!」という声も聞こえそうですが、そこまで無理やり出すことなくしっかりした音が届いていた、ということとも言えます。
低音の押し出し感など聴覚というよりは体感、の部分は別としても耳が疲れないのはやはり耳に無理ない音量が届いていたらだと言えると思います。
Afterwords
SR/PAの現場の際に何回かOCXを持ちだそうと思って思いとどまったことがありますが,やってみておけば印象ベースではありつつも今回の比較になったかもしれませんね。ちょっと後悔です。
WC以外にもいろいろ出力端子を持つClockです。BNCを抜き差しすることなくWCをSlave側で切り替えて選択できる配慮ともいえるでしょう。
外での録音が多い方にもオススメのClockです。
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checker:Takumi Otani
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