AKG
C314
さて,何故か好調なペースで続いている製品レビュー,今回はコンデンサーマイクです。
今回見ていくのは2015年末に発売されたC314です。InterBEEで展示されていてちょっと試聴したのですが,じっくり録音で試すことができました(I藤さんいつもありがとうございます)。
C414XLSと同一のダイアフラムを搭載しているとのこと(C214は"同等"),ですが,価格は大きく異なります。さっそく見ていきましょう
Product Overview of C314
さて,見た目はC214そっくりです。MVなどで一瞬映っただけでは,C214かC314か見分けるのは難しいと思います。
お約束Specから参りましょう。
参考までにC414XLSとC214のスペックも併記しておきます。
Spec of C314
- 指向特性
- カーディオイド/スーパーカーディオイド/無指向性/双指向性
- 周波数特性
- 20Hz ... 20kHz
- 開回路感度
- -34dB re 1V/Pa
- 最大音圧レベル
- 135dB SPL (パッドOFF、THD 0.5%)
- 等価雑音レベル
- 8dB SPL(Aウェイト)
- パッド
- 0/20dB
- ローカットフィルター
- Flat/100Hz
(12dB/oct) - インピーダンス
- 200Ω以下
- 電源
- ファンタムDC44V ... 52V/3mA以下
- 端子
- XLR(3P)
- 寸法(W×H×D)
- 56×159×43mm(除突起部)
- 質量
- 302g
- 付属品
- サスペンション付ホルダー(H85)、マイクホルダー(SA60)
ウインドスクリーン、キャリングハードケース
Spec of C414XLS
- 形式
- コンデンサー型
- 指向特性
- 無指向性/ワイドカーディオイド/カーディオイド/ハイパーカーディオイド/双指向性とそれぞれの中間
- 周波数特性
- 20Hz〜20kHz
- 開回路感度
- -33dBV re 1V/Pa(±0.5dB)
- 最大音圧レベル
- 140dB SPL(パッドOFF、THD 0.5%)
- 等価雑音レベル
- 6dB SPL(Aウェイト)
- パッド
- 0/-6/-12/-18dB
- ローカットフィルター
- Flat/40Hz(12dB/oct)/80Hz(12dB/oct)/160Hz(6dB/oct)
- インピーダンス
- 200Ω以下
- 電源
- ファンタム DC48V/約4.5mA
- コネクター
- XLR 3ピン
- 寸法・質量
- 幅50×高160×奥行38mm、300g
- 付属品
- サスペンション付ホルダー(H 85)
- ポップスクリーン(PF 80)
- ウインドスクリーン(W 414 X)
- 特性データシート
- 布製ポーチ
- キャリングハードケース
- 別売りアクセサリー
- マイクホルダー(SA 18/3B、SA 60)
Spec of C214
- 形式
- コンデンサー型
- 指向特性
- カーディオイド
- 周波数特性
- 20Hz ... 20kHz
- 開回路感度
- -34dB re 1V/Pa
- 最大音圧レベル
- 136dB SPL(パッドOFF、THD0.5%)
- 等価雑音レベル
- 13dB SPL(Aウェイト)
- パッド
- 0/20dB
- ローカットフィルター
- Flat/160Hz
(6dB/oct) - インピーダンス
- 200Ω以下
- 電源
- ファンタム DC12 ... 52V/2mA以下
- コネクター
- XLR 3ピン
- 寸法(W×H×D)
- 56×160×43mm
- 質量
- 300g
- 付属品
- サスペンション付ホルダー(H85)
ウインドスクリーン
キャリングハードケース
Specだけで見ていくと感度はさほど差がありませんね。むしろ差があるといえるのは等価雑音レベルでしょうか。比べるのも気の毒な気がしますが,C414XLSの6dB SPLに比べるとC214の13dB SPLは若干気になります。
その観点で見るとC314は健闘していますね。
ただかつてC214をレビューした時には,比較的オンマイクで試したのでその時にはさほどノイズは気になりませんでしたし,そこまでHAでGainをブーストしない方はそこまで目くじら立てる必要ないと思います。C414XLS 1本の価格でC214が2本位買えますから同じ土俵にのせるのが間違えているのかもしれません。
InterBEEではC414,314,214すべて試聴できたのですが,C314はC414とC214の中間の製品というよりはかなりC414に近い印象です。ダイアフラムのクオリティもさることながらその構造も異なります。C414,C314はダイアフラムを2枚搭載していますが,C214は1枚です。
C314をC414の弟
とすればC214はC414のおじさんの孫
,位でしょうか。
C414とC314はダイヤフラムとその構造が同じなのでだいぶ音質は近いと思います。それを検証したナイスな動画を見つけました。
いかがでしょう。個人的には一番最後のPink Noiseが一番分かりやすかったです。この動画から,少なからず音質差がある,ということと等価雑音レベルも用途によってはそこまで気になるものではない,ということがわかっていただけるかと思います。
価格も違いますしC414と同等のダイアフラムを使用していても内蔵プリアンプが変われば音は変わりますからそれはそれ,として見ていきましょう。
Sound Impression of C314
さて,実際の音に参りましょう。C414XLSと比較する,というのは上の動画でかなり実現出来ていると思いますので純粋にコンデンサーマイクしてどうか,という観点から録音で使用してみます。
使用したのはDsのRoom Mic,E.Bassのアンプ,E.Gtのアンプです。
まずDsのRoomでの印象ですが,全体的に,しなやかに下から上まで収録できている,というイメージです。C414と同一ダイヤフラムということもあってか,ややあっさりしていますが,レスポンスは上々です。マイクだから当たり前だという声も聞こえてきそうですが,Dsというダイナミックレンジ,周波数レンジの広い楽器を1本できれいにまとめてくれる印象です。
やはりRoom Micあると,太鼓,シンバルの集合体,という感じのTrackが一気にDsとしてまとまりますね。どのくらい混ぜるかはMix時にバンドと詰めていくことになと思いますが,楽しみです。
いつも立っていないマイクにDrummerも興味津々でした。
今回はRoomでしたが,Overheadでも良い結果生むと思います。
次にE.Bassのマイク収録です。
今回Bassistが新しいエフェクターを導入し,少しゴリっとした感じを出したいとのことでした。念のためいつも使用しているMojave Audio MA-201FETも立てておいたのですが,やはりC414のほうが少しあっさりしている印象です。低域が細いとか,そう印象はありません。
結局今回はMA-201FETが採用になりそうです。
E.Gtの収録でも使ってみました。C414を使用するところをC314にReplaceしてみた感じです。いつもと違う印象を少し受けながらも全く問題なく使用できます。Faderを上げた時のレスポンスも十分です。
あらゆる楽器で試す,というのは時間的/会場的にも無理でしたので印象を受けて,向いていそうな楽器を幾つか挙げていきます。完全に僕の予想です(外れても責任持てないのであらかじめご了承ください。)
まずPianoは良いでしょうね。Dsと並んで周波数レンジ/ダイナミックレンジともに広い楽器ですが,良い結果を生みそうです。
あと管楽器にも向いていると思います。PADもあるのでBig Bandのsoloマイクとしても良いと思います。
2本用意して,指向性切り替えを活かしてM/S Recも楽しそう(?)ですね。
アコースティックなものやナレーションなどにも良い結果を生みそうです。
Percussionやタムも良いと思います。
あえて,欠点(?)を書くとすれば,「少し派手にしたい楽器」にはちょっと向かないのかもしれません。ただ,逆に無個性な部分があるので無難に録音しておいてプラグインで...,という処理にはむしろ向いていると思います。
DAWの発展でTrackの制限が昔より少ない昨今,マイクの個性は重なってくると一部のpeakなどを招きかねません。
案外メーカーもそう考えてえているのかもしれません。
Afterwords
個性が少ない,ということと,しっかりした音で取れない,ということは全く違います。肯定的な表現をすると,「変な癖がないので何にでも使っていけるマイク」,といえると思います。
細かいチェック,長期に渡るロードテストではありませんが,安価なのにとてもよいマイクが出てきたな,という印象です。本数を揃えるにしてもだいぶ負担が違いますね。「C414なら売るほど持っている」という人には特におすすめしませんが,安価な入門コンデンサーからStep Upしたい人には非常にオススメできます。長く付き合っていけるマイクになるでしょう。
C414の万能感をしっかり持ったマイクです。数本欲しくなりました。
date:
checker:Takumi Otani
AKG,C314ショップページへ