さて今回はあのWestan Electricの復刻のスピーカーケーブルについてです。もともとWestan ElectricはAIWに生産を委託していたことですから,「再生産」といってもいいのかもしれません。
早速見ていくことにしましょう。
直径3.45mmの線材です。最近のスピーカーケーブルは2芯もしくは4芯構造になっているものがほとんどですが,これは1芯です。
芯線は直径0.25mmの動線に錫がメッキされています。芯線数は41本で断面積は約2mm2です。AWG(=American Wire Gauge)では14に相当します。
それなりの太さの単線が集まっていますのでしなやかとは言いづらいです。
オーディオ関係の雑誌で特選などに選ばれているケーブルですのでその性能は間違いないのでしょう。
ただ,楽器,特にギターアンプやベースアンプに使用すると「好みの音が出るかどうか」という部分も大きく関わってきます。「正確な音」=「楽しい音」とは限らないからです。
スピーカーケーブルは材質もさることながらその構造で大きく音質が変化します。そのへんも絡めて音質チェックに参りましょう。
今回試したのは「この復刻ケーブルを楽器用アンプのケーブルとして使用したらどうなるか」という観点です。楽器用アンプとはギターアンプ,ベースアンプです。
1mの両端にSwitchcraft 280とNEUTRIK Speakon NL4FXを着けて試してみました。
2種類の構造で試してみました。すなわちノンツイスト構造とツイスト構造です。
弊社リハスタで試聴です。通常Marshall JVM410にはBelden 9497-1SSが採用されています。いわゆる定番ケーブルですね。
高域にピークを持ちすっきりタイトな音色が特徴のケーブルです。
さてまずノンツイストのケーブルに交換です。ピークのポジションが下がり中低域にゆとりが出てくる印象です。アルペジオのクリーンなどに向いているでしょう。軽く歪ませたストロークも決して悪いものではありません。
さて,次にツイスト構造です。ピークのポジションはさほど代わりがありませんが,低域がタイトに締まってきます。かっちりした音を出したい方にはこちらのほうが向いているでしょう。
Speakonを搭載したノンツイスト構造でベースアンプに試してみました。なるほど,低域の感じが非常によくわかります。比較に用いたケーブルに対して低域が雄大に広がり高域の方も延びている印象です。すごく上まで延びている感じでは無いのですがSlapのPullが気持ちいい感じです。
店頭でも試していただけるように複数のパターンのケーブルを作成してありますが,試していただくとみなさん「え,拠るだけでこんなに変わるんですか??」と驚きのご様子。
Bassistはノンツイスト,歪を多用するギタリストはツイスト,という傾向が多いようです。
このAIWのケーブルは太さ違いで16AGと18AGというラインナップもあります,それぞれ太さは16AWG,18AWGです。
ふとしたことから「このケーブルでラインケーブル作れないかなー」と思い試してみました。
XLRコネクターの2pin,3pin同士を接続し1pin,GoundはOpenです。
「おいおい大丈夫なのか???」という声も聞こえてきそうですが,
という条件下でならShiled/Goundはなくても特にノイズが出たことはありません。バランス伝送ならではのメリットですね。
HAのoutputからADコンバーターのinputへ使用してみました。ツイスト構造は持っていない状態ですが,ゆとりのあるオープンな感じのサウンドです。超広域まで延びている,という感じはありませんが,リボンマイクのサウンドのように疲れない音,というんでしょうか。音楽性にマッチすれば非常に強いアイテムになると思います。
興味のある方はお気軽にお問い合わせください。Goundのズレが心配な方向けに1pin通しを接続したケーブルもお作りできます。
店頭でもご来店の皆さん興味津々のようです。切り売りにも対応しておりますのでお気軽にお問い合わせください。
ツイスト構造/ノンツイスト構造どちらも店頭にデモ機があります。お気軽にご来店ください。
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