ADAM Professional Audio
S2V

さて,先日のT5V,T7Vのレビューの際には触れませんでしたが,今回S2Vも貸していただけました。SXシリーズはS1XS3X-V,S4X-Vと結構試聴してきてレビューも書いているのですがSシリーズは初めてです。どんな音がするのか早速見ていきましょう

Product Overview of S2V

まずはSpecと参りましょうか。

ウーファー
個数1
バスケット直径178mm / 7inch
ボイスコイル直径39mm / 1.5inch
コーン材質HexaCone
ツイーター
個数:1
タイプ:S-ART
ダイアフラム面積2420mm2 / 4inch2
同等ダイアフラム直径56mm / 2inch
速度変換比率4>1
ダイアフラム重量0.17g
ウェーブガイドHPS
内蔵アンプ
個数2
ウーファー1
タイプPWM
出力(RMS)300W
ツイーター1
タイプA/B
出力(RMS)50W
コントロール
入力感度調整可
パラメトリックEQ6バンド
高域シェルビングEQ1
低域シェルビングEQ1
プリセットメモリー5
ディレイ0ms to 5ms
入力コネクタ
アナログXLR
入力インピーダンス48kOhm
最大入力レベル+24dBu
デジタルAES3
一般データ
パネル背面
周波数特性35Hz~50kHz
THD> 100Hz≦0.4%
最大SPL@1m(ペア)≧120dB
クロスオーバー周波数3kHz
重量11.0kg / 24.2lb.
寸法(HxWxD)346 x 222 x 338mm
保証2年間(延長保証有り)
付属品パワーコード、マニュアル

一番驚いたのは入力にデジタルが用意されたこと,DSPが搭載されたこと,でしょうか。DSPの中を細かく見たわけではないのですが,

が使用可能と事です。

他にもいろいろ更新があったようで

HPS™ waveguide
SシリーズにはX-ARTとは異なるツイーター,S-ARTツイーターが搭載されていますが,水平方向のスピーカー放射特性は広範囲にわたって均一かつ一貫した特性が実現されている一方、垂直方向ではタイトな範囲にフォーカスされるようデザインされているそうです。これにより、ミキシングコンソールなどのスタジオ機器によって引き起こされる水平面の反射が最小限に抑えられ、広いエリアにおいて均質な音像を再現できるため、高出力レベルでも安定した広いスイートスポットが提供可能とのこと。
SMA™ シンメトリック磁気回路
ADAM AudioがSMA™(Symmetrical Magnet Assembly)と命名した新開発の磁気回路では、ボイスコイルの可動範囲が従来の設計に比べ約三倍の範囲にまで拡張,これにより、ドライバーコーンが大きく振幅した場合でもリニアに動作することが可能になり、結果、より多くの空気を動かし、より高い最大出力で再生を行うことが可能とのことです。極めて大きな振幅が発生したとしても、低域ドライバーは歪みなく正確な低音を再現することが可能で,ビルトインされた巧みなクーリングシステムにより、カスタム設計の大型ボイスコイルの過熱を防ぎ、パワーコンプレッションの影響を聴取不可能なレベルに抑えているとのこと。ボイスコイルが過剰な熱を持つと、コイル電気抵抗の変動やダンパー性能・ダイナミックレンジの低下が生じ、動作に関わる要素に悪影響がおよぶことで、もはや低域の音を完全に再現することは困難になってしまうので,ADAMの新しい設計では、これらの不要な影響が回避されているそうです。

Nearfield Monitorから350Wが低歪で出るというのだからこの時点で期待が持てますね。ただOn-Axisで120dB SPL(1m)とのことなのでスピーカーより先に鼓膜がおかしくなりそうです。許容入力を超えるとS-ARTツイーター上のIndicatorが緑から赤に点灯します。

Sound Impression of S2V

さて,実際の音に参りましょうか。T5V,T7Vのときと同じくDMSD50の上になんとか設置しReference SourceをPlaybackしながらのチェックです。乗らないかなと思っていましたが,コーナーが斜めに処理されているおかげで意外と綺麗に収まってくれました。
流石に低域の伸びが10Hz違うと(A7=46Hz,S2V=35Hz)だいぶ違いが出ますね。5弦ベースのゆったりした低音が綺麗に再生されます。

定位感,奥行き感申し分ありません。今まで聞こえていなかったエフェクトの成分なども見えてきます。

せっかくなのでDPSのPresetを使用してみました。PUREと呼ばれる工場出荷時のデフォルトチューニングで、非常に正確な周波数特性を提供されるプリセットとUNR™(Uniform Natural Response)と呼ばれるADAM独自の設定で、ダイナミックで自然な特性を提供するEQカーブです。

僕の印象ではPUREは何もしていない素の状態,ちょっとそっけない感じです。UNRにすると「すごく良くできたMixに対してほんの少しだけ職人がマスタリングした」ような良さがが付加される印象です。僕はPureのほうが印象良かったですが,制作に時使用するのであればUNRで作業しておいてPureでMixする,が正解かもしれません。クライアント立会のMix CheckのときにUNRにすればOKが出やすいかもしれません(悪)

印象が良かったのでそのままRecording sessionに使用することにしました。

Digital PianoとVocalの収録だったのですが,まぁ解像度の高いこと。伴奏がピアノだけ,というのもあると思いますがLip Noiseなどが綺麗に聞こえます。

ハーモニーのパートのバランスのシビアさもA7とは大違いです。価格と開発時期が違うのでそのまんま比べるのは酷ですがA7に戻すのがちょっと嫌になってきました(苦笑)

Reverbの見え方もだいぶ異なり,デモ機自体がまだ新しいせいかちょっと音が冷たい感じですが,これはDSPで制御も可能なので問題ないかと思います。

後日、過去のsessionを聴き直してみました。

残念なことにA7では聴こえなかった音が聴こえます。僕はマイキングで音を作る部分があるので録音時のモニターは非常に重要だと考えています。

そう考えるとS2Vは充分に導入の価値がありますね。

以前のSessionを開いて聴いてみました。やはり低域の伸びが感じられますが、解像度の高さも素晴らしいですね。

高解像度なモニターでしか聴けない音があるな、と再認識です。

Afterwords

パット聞いたときの印象はS1Xのほうが好みですが,S2Vの低域の再現性は魅力です。録音時に低域を制御できると後々のMixingも楽になります。

そうなるとMidfiledやLargeに軍配が上がりますが,いかんせんC/Rのの広さも影響します。最近のプロジェクトスタジオのNearfieldにもってこいな製品だと思います。

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